Personal thoughts

音楽とかの感想を書いたりするブログ。

オタク的音楽講座 1【エモは死んだ?それは本当かい?】

最近、よく巷で「エモい」なんて言葉が定着しており、多くの人がその出所や意味を知らずに使ってるかと思う。

 

そもそもこの言葉はパンクロックから派生した「エモ」というジャンルから来ており、

要は、情緒的だったり感情を強く揺さぶるような音楽に対して、「エモい」って日本のバンドキッズ達が言ってた訳なんだけど(自分も結構早くから使ってた覚えがあったよ!)

それが、いつの間にか、何の因果かで世間一般に伝わっていき、

いつのまにか定着してしまった。

結果、今となってはバンドキッズ以外もエモいエモいと言い始め、オタク、パンピー、その他諸々全てが語彙力を消失してしまった。

世はまさに、大エモ時代。もしくは一億総語彙消失時代。

なんて時代だ。

 

てな事をぼんやりと考えてたら、改めて「じゃあエモってなーにー?」ってのと「最近エモ見ないね〜」ってのをつらつら書こう!って思ったのが、今回のこの記事に当たる。

 

 

 

 

 

 

それで、その語源となった音楽であるが、

1990年後半から2000年前半の間にアメリカやイギリスで若者を中心に流行ったパンクロックのジャンルだ。

その特徴は社会的ではなく、個人に向けたメッセージ性なんかが強く、ボーカルの柔らかい歌声や感情的な叫びに、ポップでどこかメロディアスなサウンドが乗っかる曲調で、

従来のパンクロックにある「尖り」「泥臭さ」「不良感」というよりも「綺麗」「切なさ」「センチメンタル」が前面に押し出された音楽だ!

と僕は勝手に思っている。(別に僕は音楽の専門家では無く、好きなだけだから、その辺は結構フィーリング&アバウト。なので、我こそは詳しいって人は居たら教えて欲しい)

 

そんな楽曲だからか、その時代に生きていた若者達に多く支持された。

世界は様々な社会の不安、閉塞感、危機感に包まれていた。

テロ、貧困、家庭内暴力やイジメ、精神の悩みやジェンダーの悩み、他にも上げればきりが無いほどある。

そんな世界に対して希望が見出せなくて、

でもそれを誰かにぶつけたり「誰かのせいだ!」と怒ったり、喚いたりする事も出来ず、吐き出したいけど吐き出せ無くて、

誰しもが悩みを抱えて、それを心の内側に隠して死にたいけど生きている。

そんなユメもキボーもありゃしない世代の若者達の内なる漠然とした不満感、不安感、閉塞感、危機感を叫ぶ音楽が「エモ」だった。

多分、20台後半から30台後半くらいまでは思春期真っ只中にぶつけられて、なんか良くわかんないけど、凄え刺さる音楽に興奮し、それを表現しきれず「エモい...」と呟いた方も多いだろう。

 

 

 

それではいくつか曲紹介

 

My Chemical Romance 「Welcome To The Black Parade」

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https://youtu.be/RRKJiM9Njr8

エモと言えば!とまず名前が上がる一曲。

VoのGerard Wayは元々漫画家・イラストレイター・アニメーターで、スパイダーマンスパイダーバースで話題になったペニー・パーカーの産みの親だったり、ドラマ化されたアンブレラファミリーの作者だったりする。

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(可愛い)

 

ゆっくりとしたピアノのイントロから入り、パンクらしい疾走感のあるサビで叫ぶように歌う歌詞が特徴的。

今聴いてもエモい。

 

 

Panic! At The Disco「I Write Sins Not Tragedies」

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https://youtu.be/vc6vs-l5dkc

こちらもエモと言えば!で上がる一曲。

現在P!ATDのメンバーはVoのBrendon Urieのみ。だが、現在もP!ATDとして活動しており、最近は映画に楽曲提供してたりと、精力的に活動してる。

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https://youtu.be/jpJ8CbrWX_Y

(一番有名だと思うのはグレーテストショーマンの「The greatest Show」。実はこれもP!ATDが曲提供してる)

 

今でこそ、ポップロックミュージックのスーパースターだが、最初はゴシックエモのバンドとしてデビューしており、どっちがいいかと言われれば迷う。

 

 

他にもあるけど、とりあえずこの二つをご紹介。

自分のイメージする「王道のエモ」がこれだった、このチョイス。

「いや、こっちの方が!」ってのは心に秘めて欲しい。

 

余談だけど、他所で「弱虫の音楽」なんて言葉を見かけたけど、まあ結構そうだなって、それなりに好きな僕も納得した。

ハードコアやメタルほど攻撃的じゃないし、かと言って明るく元気に!な歌でもない。メッセージが女々しいとか言われたら、それまでなので、そう思えるのも致し方無しかなと。

 

 

 

 

 

さて、エモの特徴と大まかに「こういう感じだよ」ってのを伝えたところで、本題。

そしてタイトルにもある通り「エモは死んだ?それは本当かい?」って話。

 

 

そもそもこんな事誰も言ってないのだけれど、良く考えたら「こういう音楽が減った」もしくは「メインシーンから外れた」という印象はある。

 

実際、EDMミュージックの台頭と90年台リバイバルブームの波でヒップホップが現在の洋楽メジャーシーンの花形となっていて、

メインから外れたインディーズやサブカルチャーやアンダーグランドでもハードコアやメタル、パンクなどの要は「多くのファンを確立しているジャンル」の他に、ポストハードコアやメタルコア、ポップパンク、メロディックハードコアなどの派生ジャンルが現在の主流となっている。

 

日本でも、メジャー所はアイドルなどが席巻。

そこに近年は俗に言うロキノン系の今までテレビ出演とかせずライブとかラジオで良く聞いたロックバンドみたいなのや、声優やボカロなどのアニメシーン側の音楽がメインの脇を飾るような感じ。

インディーズ単位でも主流はオシャンティなロキノン系かライブでブチ上がれるラウド系、メロコア系。

そこにヒップホップやジャニーズやエグザエルやAKBとは違うアイドルが加わるような印象を受けている。

 

ファッションという観点から見ても、アイマス白坂小梅みたいな、前髪で目を隠したり出来るくらい長くて、ピアスとかタトゥーをバチバチにキメて、中性的な印象を受ける、俗に言う「エモボーイ/エモガール」みたいなのはめっきり見なくなったし、ツーブロックやパーマで小綺麗になったバンドマンが増えた気もする。

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(可愛い)

 

そんな訳で「バカめ!エモって奴は死んだ!もう居ない!」って思ってしまった訳ですが、

果たしてそうなのか?

 

実は違う。

 

死んだのでは無く、「多くの音楽に取り込まれて、広まった」のである。

 

https://youtu.be/4r4N93BuAwA

 

今のURLはFit For A Kingというメタルコアバンドの最新アルバム“Dark Skies”に収録されている「Oblivion」という楽曲なのだが、

ゆったりとしたイントロから、疾走感のあるメロ、そしてシャウトやデスボイスとは違う叙情的な歌声のサビ。

さっきも似た構成の曲上げてたよね?

 

つまりは、こういう「エモと違うジャンルに大きく影響を与え、違うジャンルの中で今も残っている」のである。

特にメタルコア系において、この流れは顕著で、このバンド以外にも見られ、シーンに大きく影響を与えている。

 

また、このエモという概念を感じ取る人が多くなったというのも大きい。

最初に言ったが、今までは一部のバンドファンや洋楽ファンが言ってる概念だったが、今となっては様々なジャンルでそれを何処と無く理解する人が増えた。

だから、曲調が違っても、歌詞や歌い方などでこちらが勝手に感じ取れる様になり、多くのアーティストにエモを感じ取れるようになった。

けど、日本語にはそれを端的に短く言い表せる言葉が無い。だから「エモい」って言葉が広がった。

 

のかなと僕は考える。

 

 

 

 

 

話の最後に。

近年になり多くの音楽が様々な手段で手に入るようになった。

違法だが無料でダウンロードは可能だし、Youtubeとかでだけ聴く事も出来る。

別に音楽を買う必要性は薄くなったのかもしれない。適当に無料で消費して、飽きたら飽きたで捨ててしまって、そういうのも一つのスタンスなのかも知れない。

 

でも、そんな時代だからこそ、

心にガツンと響いて、鳥肌が立つエモい曲に出会えるのは幸せな事だと思う。

だからこそ、そんな「エモい曲」に出会ったら、どうか正規の方法で応援して欲しい。

買わなくても、今はストリーミングサービスがあって、アーティストに還元される仕組みになっている。月額数百円でも、お小遣いの範囲でどうにかなる値段の所もある。

 

そうやって、みんなが正規の方法でアーティスト達を応援すれば、新しいエモい曲が生まれるかも知れないのだから。